2010年12月21日火曜日

皆さんこんにちは


皆さんこんにちは。委員長です。ブログの更新がすっかり滞ってしまいました。これからはできるだけ頻繁に更新したいと思います。
さて私は現在大学で就職担当というのをやっています。小学校,中学校,高校と進学し最後は大学,大学院にたどり着きますがその先の学校はありません。どこかそれ以外のところで生業をたてることになります。
私のいる大学では約8割の学生が学部卒業後大学院に進学します。大学院では研究テーマによって有機化学,無機化学,分析化学,高分子化学,環境学,化学工学,物理化学などの研究室に所属し,より専門的な分野の研究をします。2年間の修士課程を終えるとほとんどの学生は企業の研究所や開発部,官公庁などに就職します。修士の研究を更に深めるため博士課程に進学する学生もいます。昨今大変な就職難が言われていますが,修士課程を終えた学生についてはそれほどではありません。学生によってはあっという間に希望の会社から内定をもらう人もいます。場合によっては説明会に参加し,先方の企業から“是非この学生さんをほしい”といってくることもあり,そのような場合は確実に就職が決まります。逆になかなか希望の会社から内定を得られない学生もいます。
学生達は学科に来た求人票から希望の企業の受験を希望したいと,私のところにやってきます。そのような中で希望の企業にすぐに就職できる学生さんにはある共通点があることに気がつきました。それは,そのような学生は大変礼儀正しく,また私が必要な書類の提出を依頼してもその対応が速く,万一遅れる場合は連絡をしてくること,また大変謙虚であることです。中には口べたな学生や,極端に上がり症では?と思われる人もいましたが,それはあまり関係ないようです。よく考えるとこのようなことは小学校のときに教わったことですよね。社会人としてきちんとしているということでしょうか。逆に学生さんをみて,自分がそのようにできているか?と思い自省することしきりでした。
化学も社会も人の営みによって進歩します。やはりきちんとしているのは大切なんだなあと思った次第です。
(GIMU代理投稿)

2010年12月14日火曜日

低炭素社会って???

こんにちは。初めて投稿するマチカネ博士です。ちなみに、みなさんは「マチカネワニ」をご存知ですか?1964年に日本で初めて発見された巨大な(7メートルほど)ワニの化石です。豊中市の待兼山付近から発掘されたので、その地名をとってマチカネワニと呼ばれています。45万年前に生息していた世界的に見ても貴重な化石標本です。わたしは、その実物化石を展示している博物館に勤めています。この化学だいすきクラブの編集者の一人ですが、日頃は博物館に来てくれる一般市民や小中学生を案内したり、展覧会の企画を考えたりして忙しくしておりますので、編集のお手伝いはあまりできません。そこで、罪ほろぼしに、最近ちょっと考えていることを書いてみます。
新聞やテレビでよく「低炭素社会」ということばを見かけますね。たぶん、二酸化炭素の削減、省エネルギー、環境保護(エコ)などに関連した用語だと思うのですが、変なことばだと思いませんか?誰がつくったことばか知りませんが、わたしには違和感があります。このような用語が氾濫することで、化学の正しい理解からみなさんを遠ざけているような気がしてなりません。
みなさんの身の回りを眺めれば、ほとんどが炭素の化合物からできたもので囲まれています。人間自身も炭素化合物(たんぱく質、DNA、脂肪、炭水化物、など)なしには生きてはいけないのです。つまり、「高炭素社会」だと思いますが、いかがでしょうか?低炭素社会にするということは、金属や石ころなど炭素以外の元素からなるもので社会を構成するという意味になります。しかし、よく悪者あつかいされる二酸化炭素ですら、植物にとってはなくてはならないものです。炭素はすばらしい元素なのです。
今年のノーベル化学賞は「クロスカップリング」の発展に寄与された鈴木先生と根岸先生が受賞されたことは、みなさんもよくご存知でしょう。この反応は、いわゆる「炭素−炭素結合」をつくるためのもので、医薬品や液晶など有用な炭素化合物を合成する際に広く使われています。その根岸先生も新聞で話していましたが、多くの化学者の夢は、二酸化炭素と水から直接有機化合物を合成することです。植物はいとも簡単にこれを行っている(光合成)のですが、まだまだ人間は実現しておりません。いかにして「高炭素社会」をつくるかが化学の最大の課題の一つと言ってよいでしょう。
わたしが勤める博物館ではサイエンスカフェを土曜日に開催しています。そこで近隣の市民と科学の話をする機会が多いのですが、環境や健康に関して奇妙な用語を用いた似非(エセ)科学・にせ科学が横行していることを感じさせられます。科学(化学)を正しく理解しておれば、そのようなインチキ商品には引っかからないと思うのです。少し難しいことばで言えば「科学リテラシー」の向上にとって、「低炭素社会」なる用語は逆行しているように思えてなりません。したがって、「低炭素社会をめざして」というようなキャッチフレーズを耳にすると、違和感を覚えるのです。わたしはへそ曲がりなのでしょうか。みなさんはどう思われますか?

2010年6月4日金曜日

原子と分子

こんにちは。私は,普段,中学理科や高校化学を教えています。この度,化学だいすきクラブの編集者に仲間入りさせていただきました。みなさんと化学の不思議について学習していくのを,とても楽しみにしています。
さて,今やエコがブームになり,二酸化炭素のことをCO2というのをよく耳にするようになりました。CO2とは,1個の炭素原子(C)と2個の酸素原子(O)が結合して二酸化炭素分子ができていることを表しています。こんなに日常に使われている物質の構造について分かったのは,実はそんなに昔のことではありません。
イギリスの科学者ドルトンが原子を用いて化学反応のしくみを説明したのは,1803年のことでした。しかし,ドルトンの原子説だけではすべての反応を説明できませんでした。そこで1811年に提唱されたのが,イタリアの科学者アボガドロの分子説です。
ジュース,パン,醤油,ソース,洗剤,歯磨き粉,医薬品・・・と私たちの身の回りにある製品をよく見てみると,それぞれさまざまな物質が含まれていることに気がつきます。たったの200年で,近代化学が急速に発展してきているのです。みなさんも,今抱いている化学の不思議について勉強を重ねて,将来何か面白い発見ができるといいですね。

2010年5月17日月曜日

化学の雑誌と論文


こんにちは、私は大学で材料をつくる化学の研究・教育をしています。
貝殻や骨のような自然界の温和な材料から学び、より役に立つセラミックスを焼かないでどのように水の中からつくるかの化学合成プロセスを研究しています。
私は今回、化学の研究の世界からひとつ話題をお届けしようと思います。

さて、みなさん雑誌というと何を思い浮かべるでしょうか?
週刊誌、ファッション雑誌、趣味の雑誌、週刊~~といったマンガでしょうか?
みなさんお好みの雑誌を楽しまれているかと思います。

そもそも、雑誌とは国語辞典によると「いろいろな記事を載せて定期的に出す本」という意味だそうです、化学の研究の世界にも雑誌があります。それは、論文がたくさん載っている雑誌です。

大学、研究所、企業で行われた研究の中には、論文として世に公開される研究があります。
特許を出願し、自分たちの研究を保護する場合もあります。

論文は日本語もありますが、英語で書く場合も多いように思います。
日本発の優れた発見・技術・研究を、日本人だけではなく世界中の研究者に知らせたい場合も多いからです。

このような論文がたくさん載っている雑誌はどこの誰が出しているのでしょうか?
世界の学会や出版社が出しています。アメリカやイギリスの化学会、ヨーロッパの出版社などがあります。
もちろん、このだいすきクラブの母体となっている、我らの日本化学会も世界へ英語の化学雑誌を出しています。ぜひ、リンクをクリックしてちらっと見てみてください。
Chemistry Letters誌
http://www.chemistry.or.jp/journals/chem-lett/index.html
Bulletin of the Chemical Society of Japan誌
http://www.chemistry.or.jp/journals/bcsj/index.html

なぜ2種類あるのでしょうか?
これらの2誌のうち、Chemistry Letters誌は短い速報です。
詳しいことはまだわからなかったり、色々あるのですが、とにかく重要な発見をいち早く読者の研究者に伝えたいというような速報性の高い論文が出ています。

自分たちが論文を書くこともありますし、一方で、みなさんが普段雑誌を読んで知識を得るように、他の方々が書いた論文を読者として読んで勉強することも多々あります。また、覆面で審査員をして論文の審査にあたる場合もあります。

論文が出るまでには色々な工程を経ています。
まずは、実験・研究が論文としてちゃんとまとまることから始まります。
著者らの研究グループで論文を書きます。
それを編集部へ投稿します。
編集部が審査員へ論文の審査を依頼します。
審査員の評価や意見をもとに編集部で採否が決定されます。
著者たちにその結果が連絡されます。

ということは、お気づきかと思いますが、論文を出したい・載せたいと思っても採用されない場合もあります(現実的には悲しいかなよくあります・・・)。審査員の意見に従って書き直しや修正、追加の実験が必要な場合もあります。こうして、いくつかの段階を経て掲載採用されると、雑誌に載りますが、まだ仕事は終わっていません。

ゲラ刷りをチェックしたり、色々な書類を提出し、全てが完了した論文から順に雑誌へ掲載されてゆきます。

今では、電子版として紙の雑誌に印刷される前から論文をインターネット上で見ることができます。それに、グラフィカルアブストラクトといって、写真やイラストでその論文をわかりやすく説明する欄があるので、絵でその論文の内容を何となく把握することができます。

将来の化学者であるみなさんも、論文を書く日がやってくるかもしれません。
自分たちの論文が、世界の研究者が見る雑誌に載るのは、世界を相手に実験・研究しているんだなと実感できる何ともうれしい瞬間、研究者であることを実感できる瞬間です。

しかし、英語にせよ日本語にせよ、よい文章・論文を書くのはとても大変な作業と感じています(つまり私は未だできません・・・)。
みなさんは化学をはじめ物理、生物、理科、算数、数学は好きかと思いますが、国語や小論文、夏休みの作文、読書感想文も決しておろそかにせず、ぜひ正しい日本語と文章を書くこと、他の人が読みたくなる名文(≠迷文)を書ける力をつけて下さい。

これから梅雨や定期試験、、、化学グランプリを受ける方もいらっしゃるでしょう。
夏休みまでがんばって過ごして下さい!

2010年4月10日土曜日

「化学」ってなんだろう

 こんにちは、皆さんはじめまして!hiroです。高校で「化学」を教えています。よく、高校生の生徒に「何で化学を勉強しなければいけないの?」なんて聞かれますが、それは簡単「必要だから」です。化学とは『もの』の材料に注目して、その性質を知る学問です。その材料のもととなるのが約110種類の元素なのです。だから、元素記号や化学式を覚えなければいけないのです。

 そのように答えるけれど、難しく考えることはないです。化学とは材料に注目する学問です。歯磨き粉や洗剤のパッケージに書かれている成分表から、それぞれがどんな役割をしているのか調べてみる。これも化学です。ホットケーキが膨らむ理由を成分表から考えてみてください。

2010年4月7日水曜日

今年はポーランドが熱い、かも知れません

先日、duffy先生が「コペルニシウム」のことについてお書きになっていましたね。


コペルニクスはポーランドが生んだ偉大な天文学者。その功績をたたえて、新しい元素の名前をコペルニシウムと名づけるなんて、なんて粋な計らいなのでしょう。ポーランドのワルシャワ旧市街には、彼の銅像がありました。左手に天体模型を持ち、何らかの教えを説いている最中なのでしょうか……。ちなみに、彼の名前を冠したものには、ポーランドの南西に位置するブロツワフ市の「ブロツワフ・コペルニクス空港 / Copernicus Airport Wrocław」があります。

ポーランドの生んだもう一人の有名人と言ったら、誰を思い浮かべますか?
ピアニストであり、作曲家でもあるフレデリック・ショパン。彼もポーランドの生んだ偉人の一人と思います。なんと今年2010年は彼の生誕200年ということで、ショパンイヤーと盛り上がっています。彼の名前は、ポーランドの首都ワルシャワにある国際空港、「ワルシャワ・フレデリック・ショパン空港 / Warsaw Frederic Chopin Airport(Okecie Airport)」に冠されてもいます。

化学、という立場から有名人を探すと、やはりラジウムとポロニウムを精製、単離に成功したマリー・キュリーが筆頭に上がるでしょうか。生涯2回のノーベル賞を受賞しマリー・キュリーの生家は、ワルシャワ市内にあり、現在では博物館として一般に公開されています。
http://muzeum.if.pw.edu.pl/



博物館と言っても、彼女の本当のおうちがそのまま博物館になっているので、規模も小さく、大々的な展示はありません。でも、歴史の重みというか、偉業を成し遂げた人物がかもす重厚感が、いやがおうにもひしひしと伝わってきます。寒い国の建物だけに、オレンジの暖色系の壁がステキですね。


本当にキュリー氏が使っていた机とか、本棚とかも展示されていました。
彼女がアインシュタインと同じ時代に生きていた人物であることは、意外と知らない人が多いのではないのでしょうか。

2010年2月27日土曜日

コペルニシウム ニッポニウム?

 こんにちは、皆さん初めまして。ハンドルネームDuffyです。化学大好きクラブでは「化学だいすキッズ」や「化学ワンポイントアドバイス」の編集などを担当しています。私は高校で化学を教えている者ですが、昨日は授業で、身の回りのいろいろなものが酸性なのかアルカリ性なのかを調べる実験をしました。こうした身の回りのものについての性質や利用の仕方を考えることも化学が扱う事柄ですが、物質がどのように成り立っているのかということも化学の興味の対象で、新しい元素を発見することは化学に大いに関連する事柄です。


 すでに知っている人もいると思いますが、先日2月19日、IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry 日本語では国際純正・応用化学連合)という組織から、112番元素の名称が決定したとの発表がありました。112番元素は人工的に作られたもので、これまでラテン語で「112番」を意味する仮の名前「ウンウンビウム」で呼ばれてましたが、元素名:copernicium(コペルニシウム)、元素記号:Cnとなりました。この名前は、1996年2月6日に第一発見者となったドイツの重イオン研究所の提案で、コペルニクスの業績を称えてとのことで、コペルニクスの誕生日の2月19日に合わせて発表したようです。


 こうした元素の発見で、日本も含めたアジアの国々はこれまであまり貢献がありませんでしたが、実はあともう少しというところまでたどり着いた日本人が約100年前にいました。第一高等学校(現在の東京大学の前身となった旧制高等学校)教授の小川正孝先生です。小川先生は第43番元素を発見し、ニッポニウムと命名しましたが、後にそれは43番元素ではなく、レニウムという元素であったことがわかりました。


 112番より重い元素では、118番まで発見の報告がありますが、まだ名前はついていません。このうち113番元素の合成は、日本の理化学研究所が、2004年7月23日に成功したものです。113番元素には「ニッポニウム」とか「ジャパニウム」、あるいは研究所の名前に因んで「リケニウム」といった名前が付くかも知れませんね。

朝食で


 おはようございます。私は化学だいすきクラブで、newsletterに携わっています。このブログを書くにあたり、何かいい題材がないかなぁとずっと探していました。あれやこれや浮かんだり消えたり・・・。
 
 でも難しく考えることないんだと、ふと思い、生活の中から何か化学に結びつくことってたくさんあるだろなと周りを見てみました。
 朝起きて、食パンを焼けばいい香りがするし、コーヒーを入れればコーヒー豆から成分が溶け出してくる。これだけでも立派な化学なのではないかなぁ、なんて思いました。
 学問として化学を見れば、当然難しいことがたくさんあります。でもそれはほかの学問でも同じ。それを学んでみようと思うのは、ふとした日常の生活に隠れている小さなことなんじゃないかなと思います。
 ちょっと意識して日常を過ごすだけで、興味深い事象がたくさんあると思います。

2010年2月25日木曜日

東京理科大学の駒場です

みなさん,はじめまして.
東京理科大学の駒場です.私は応用化学科という学科に所属して
化学の研究と教育を行っています.大学でどのように化学を学ぶか
についてご紹介したいと思います.

高校までは「化学」の二文字で表す内容は,大学の講義では「無機化学」
「有機化学」「物理化学」「電気化学」...様々な細分化された専門的
な学問分野に分類されて学びます.一般に講義が中心の学部3年
までに対して,4年生になると卒業研究に取り組んで,日夜実験を伴う
研究生活になります.今の時期になると,卒業研究の発表会があり,
学生は1年の成果を先生の前で発表します.社会にでて技術者・研究者として
活躍できる実力をつけるために,さらに大学院で2年間(修士課程)の
研究を行う学生が増えています.私の大学でも,いまの時期は,卒業研究
だけでなく,修士研究発表,さらには入学試験で忙しく,日本化学会のよう
な学会での活動,企業との共同研究など,学生とともに忙しくしています.
だいすきクラブでの私の役割は,「暮らしの化学最前線」の編集です.
身の回りで役立っている化学をみなさんに紹介しながら,入試が目的の
化学だけでなく,技術としての化学のすばらしさ,面白さを伝えることが
できたら,と思っています.

2010年1月26日火曜日

缶詰ミカンの季節

実験には旬がないと思っていませんか?冬になると缶詰ミカンの実験をする季節です。つい先日もある実験教室で小学生と缶詰ミカンをつくってきました。ミカンの内包をアルカリで解かしてしまう方法で、今回は重曹をつかいました。200ミリリットルのお湯に9g程度の重曹を入れて80℃程度で5分ほど放置するとできあがり。そのままではアルカリ性なのでうすいレモン汁で中和して試食。参加した小学生も大喜びでした。皆さんもやってみてはどうですか?