2011年11月28日月曜日

外国の展示会に行ってきました

化学をやっていると遠方に出かけるチャンスが増えてきます。ちょっとした楽しみの一つです。

1)学生のころ
自分の研究内容を化学会の年会やその他の学術集会などで発表する機会があります。発表の準備はたいへんですが,発表が終わると開放感があります。

2)社会人になって
研究を続けていれば,研究発表の機会があります。また,そうでなくても出張でお客さまを訪問したり,展示会に出展したりと出かける機会はあります。

私も今年の夏と秋にそれぞれ米国,中国に出張してきました。前者はアメリカ化学会の展示会,後者は顧客訪問と展示会でした。
アメリカ化学会年会会場
(コロラド州デンバー)
  

展示会場入口
(内部は撮影禁止)

   

会場近くのメキシコ料理店にて


2011年9月22日木曜日

時代を感じる時

実験や授業などで生徒と話していると、たまに互いに???ということがあります。こちらが当然知っているような物が、身の回りから無くなってしまい、中高生にはわからなくなっている、という現象です。先日の???はナフタレン。防虫剤としてタンスなどに使われていました。ニオイくらいは知っているかなぁと思っていましたが、「何これ、クサッ!」でした。また別の時には「灯油」。言葉も通じず、困りながら火を付けたところ「あぁ、おばあちゃんの家のニオイ!」だそうです。オール電化のマンション住まいにはわからないニオイですね。今日もまた???の瞬間に出会うかもしれません。

2011年8月11日木曜日

来て・みて・試して・考える 最先端分析科学の世界 (その1)


みなさんこんにちは。委員長の内山です。今回は私の専門である分析化学の行事に関する話題を取り上げたいと思います。

この5月に,世界中の分析科学に関係する研究者,技術者,企業の方が集まり,最新の分析科学の動向について,研究発表や討論・紹介をする国際分析科学会議2011(ICAS2011)が開催されました。私も分析科学者の一員として,自分の研究発表をするとともに,科学普及活動を企画し,その責任者になりました。
その内容は,最先端の分析機器を使って実験し,考える場を提供し,更に著名な研究者から若い人へのメッセージを送ってもらうというものです。私たちはこの公開講座を“来て・みて・試して・考える 最先端分析科学の世界”と名付けました。
学会でも,分析機器メーカーにとっても初めての試みです。また,国際分析科学会議は10年に一度開催され,国内外から1000名以上の参加者が見込まれ,数多くのセッションが計画されているため入念な準備が必要であることから,3年以上前から準備を開始していました。


学会の準備なんて,それほどたいしたことがないように思われるかもしれません。しかし現実に動いてみると,結構骨の折れる仕事だということがわかります。まずは会場を確保しなければなりません。1000名以上の参加者を収容できる国際会議場となるとそれほど多くはありません。今回は場所が京都と決まっていましたので,京都国際会館になりました。
また,国内外から旬の研究者をリストアップし,来ていただけるかどうかのスケジュール調整をしなければなりません。これは分析化学のそれぞれの専門分野の先生方にお世話いただくことになります。その他レセプション,見学会,予稿集,プログラムなどの手当,招待講演者の対応なども必要です。
公開講座では,当初分析化学の分野でノーベル化学賞を受賞された田中耕一さんと下村脩先生に一般市民向けに講演していただこうと思っていました。
その後,一般市民向けより対象を絞り込み,これからの社会を担う若い人特に高校生・大学低学年生を対象とすることになりました。更に講演会で話を聞くだけではありきたりで,分析化学会として行わなくても他に機会があるので,分析化学としてできることをすべき,などの意見を頂きました。

私の回りの分析化学以外の研究室を見渡すと,実際に行っている研究の何割かは分析化学を行っています。例えば有機・無機生成物の構造決定に核磁気共鳴スペクトル測定や質量分析法,ナノ構造体の評価に電子顕微鏡,種々の分離に液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどなど,高度な研究になればなるほど最先端機器を使用して評価するのです。しかも一昔前のように高度に専門知識を持ったオペレータが必要ということもなく,学生・大学院生にも使いやすいものに進化しています。
分析科学は縁の下の力持ちどころでなく,最先端研究には欠かせないツールなのです。しかもこのようなツールの開発に対してノーベル化学賞が与えられています。それならば,このような分析機器を実際に操作し,会場で実験してもらうのはどうかと考えました。ただ単に実験しておもしろかったというのではなく,その機器の成り立ち,原理,応用性など機器の背景にある哲学を一緒に学べるような内容とすることにしました。
このような内容としたのは昨年の夏休み前頃でした。京都国際会館の講堂を使ってこれを実施するには,20台程度の機器が必要になります。


国際会館という実験室でもない国際会議場に,高度な分析機器を持ち込むだけでも大変そうなのに,実際にそれを用いて意味のある実験することを考えると,超大型機器はその選択肢から外れます。また廃液を大量に発生するものも望ましくありません。また高校生に最先端の分析機器を体験・理解してもらうための内容の吟味・精査も必要です。
このような観点から多くの機器メーカーを訪問し,趣旨を説明し,お願いして回りました。京都まで分析機器を運び,そこで説明と実験をする人に来ていただきを,上記のようなテキストを作製して高校生に理解していただく。終了後は撤収して元に戻す。
これらのことをすべて自前で行っていただく(費用はこちらで負担しない)という,いわば大変虫のいいお願いです。さすがに初めのうちは,なんと厚かましいお願いをしているのだろうと気が引けました。しかし,趣旨を説明し話を進めると殆どの企業の方は大きく賛同され,逆に励まされたり,他の分析機器メーカーを紹介してくれたりしました。企業の方々もこのような機会を待っていたかのようでした。
最終的には分析機器工業会という分析機器メーカーの集まりに全面的な協力をいただくこととなり,多くのメーカーに参加いただくことができました。

2011年があけ,博士論文,修士論文,学士論文の審査会,期末テストなどの行事を終え,卒業式も近づいた3月のある日,突然大きな揺れを感じました。
私は大学の研究室のオフィスにいて調べ物をしていました。いつもより揺れは大きいものの,たいしたことはないだろうと高をくくっていましたので,はじめは倒れてきそうな棚の上の荷物を手で押さえていました。
しかし思ったよりも揺れは大きく,その時間も長く,棚の上の手で押さえていない荷物がどんどん落ちて来るのをみて,慌てて窓を開け,外へ飛び出ました。関東より北にお住まいの皆さんも私と同じようなことだったかもしれませんね(もっと気をつけている?)。東北地方沖を震源とする大震災です。その後,木更津の石油基地が爆発炎上,津波による大災害,福島の原子力発電所の事故などつぎつぎと大きな災害が起こりました。国際会議まで残すところ2ヶ月にせまった311日でした。

大震災により東北地方沿岸を中心に多くの町が失われ,電気も道路も不自由となり,更に福島原子力発電所では核燃料の露出が起こった中で,残すところ2ヶ月先に開催予定のICAS2011は開催できるのだろうかと,正直に思いました。
実行委員会でも開催すべきである,すべきでない,延期してはどうかなどたくさんの意見が出されましたが,最終的には予定通り開催することになりました。どなたかが,“日本全体を一つの大きな船と考えると,,船体と船員の一部が傷ついてしまったときに,他の船員は傷ついた船体を修復し,被災した船員の分まで働かねば元には戻らない”という意味の考えを披露していただいたことも,実施する一因となったのかなと思います。
このような考えは日本人特有のものなのかもしれませんが。また,特に原子力発電所の事故については国内外で非常に高い関心が寄せられていることから,分析科学としても正確な情報を社会に発信すべきであるという趣旨のもと,ICAS2011に特別セッションを設け,私の担当している公開講座でも特別講義を追加しました。

紆余曲折があったものの最終的に以下のようなプログラムとなりました。

522()
第一部 最先端の分析機器を体験しよう(午前10時~,終了後第2部へ移動)

1-1 島津製作所,堀場製作所オープンラボラトリー

1-2 国際会館オープンラボラトリー
走査型電子顕微鏡,紫外・可視分光光度計,蛍光光度計,フーリエ変換赤外分光測定装置,原子間力顕微鏡,pH測定装置,赤外イメージング装置,DNA分析装置,イオンクロマトグラフィー,はやぶさなど

第二部 著名研究者からのメッセージ(午後~)

[The Challenge of Sustainability]
リチャード・ゼア先生(スタンフォード大学)


「緑色蛍光タンパク質の誕生」
下村脩先生(2008年度ノーベル化学賞)
「電子顕微鏡でカーボンナノチューブを見つける」
飯島澄男先生(名城大学・産総研)

3 特別企画

「福島第一原子力発電所事故による環境の放射能汚染:過去の放射能汚染と比較して」
広瀬勝巳先生(上智大学理工学部)

つづく
代理投稿 JIMU

2011年7月17日日曜日

湿気は大敵


 はじめまして。編集をやらせていただいておりますogと申します。
 大学では高分子の合成に関する研究をしております。
 皆さんは、もう少しで夏休みでしょうか?
  暑さに負けずに頑張ってください(特に受験生の皆さん)。

 私たち有機合成に携わっているものにとっても、夏はつらいシーズンです。
 合成反応の中には湿気を嫌う反応が多く、私たちの研究室でも湿度が高い夏には失敗する確率が上がってしまう実験があります。その中でも代表的なものが下の例に示すようなアニオン重合とよばれる重合実験です。
   
 反応式で書くと簡単そうで、操作も基本的には冷やした溶媒(THFなど)に開始剤(ブチルリチウム)を加え、最後にモノマー(スチレン)を滴下して15分ほど待って終了です。難しい操作は特にないのですが、実は下準備に結構時間がかかる実験です。この実験で使用する溶媒であるTHFやモノマーであるスチレンには、「痕跡」の水も含まれることが許されません(実は酸素もです)。そのため、結構物騒な金属ナトリウムや水素化カルシウムを使って不活性雰囲気下(窒素やアルゴンなど)、「脱水蒸留」して精製します(密閉して保存しても、いつの間にか水や酸素が入ってくるので、できれば実験の直前に行います)。合成に使うフラスコや注射器(試薬を加えるのに使います)も完全に乾燥させる必要があります(真空下で高温にしてガラスに吸着している水を取り除きます)。

 そのように準備をしていざ実験を始めてみても、どこかの段階で「水」が取り除けないと実験は失敗します。最初に書いたように湿気の多い夏には失敗する確率が高くなります。実験の失敗といってもいろいろとあるかと思いますが、この実験では成功の場合、収量がほぼ100%になりますが、失敗の場合は0%(何も取れない)となり、まさに運命の別れ道となるわけです(all or nothing)。

「失敗を恐れてはいけない」ともいわれますが、この種の失敗は相当へこみます。実験の片付けをする心持も相当変わりますよね。もちろん、「成功の喜び」も大きいのはいうまでもありません(これがなければやっていけない)。

2011年6月11日土曜日

化学の実験は楽しい?きびしい?~安全第一で楽しむために

はじめに、3月11日に発生致しました東日本大震災によって被災された方々に心よりお見舞いを申し上げると同時に、1日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

私は大学で材料をつくる化学の研究・教育をしています。今回のタイトルを見ると、「えっ?化学の実験はきびしいの?」と思うかもしれません。いやいや、楽しいと思います。ただ、安全第一、ということで思ったことを書かせていただきたいと思います。

しかし、人生と同じ、楽しいときもあれば、きびしいときもたまにはありますといったところでしょうか。当然、世の中に無い新しい現象を発見したとき、予想通りの結果が出たときなど「よしっ!」と楽しくなります。また、実験操作自体が楽しいこともたくさんあります。

大学に入ると、化学系に進んだ方はもちろん、そうでなくても1・2年生で、多くの場合化学の基礎的な実験に関する授業があります。

例えば、中和滴定の実験、有機分子や高分子を合成する実験、化学電池を組む実験、イオンの濃度を測る実験、反応の速度を測る実験等、大学によって色々なテーマがありますが、このような実験を通じて、実験に関する様々な基礎を身に付けます。

新しい発見や最先端の実験からは少し遠いかもしれませんが、基本技術の習得は非常に大切です。中高では時間の関係でなかなか授業中の実験が十分にできない場合もあるかと思います。大学では、みなさん自身が実験を行い、必要な方法や実験器具の扱い方を身に着け、データーと結果の整理の仕方を学び、レポートを書いて提出をします。何より、正しい知識と実験の方法を身に着け、安全に実験ができるようになることは非常に重要です。

例えるならば、この時間を通じて化学実験・研究をする免許(単位*)を取得、職人技を身に着けるようなものです。免許を取得してからは、自由に実験・研究ができるようになるといったイメージです。
*大学では授業で一定の点数を修めて履修を完了することを、単位を取ると言います

私は、大学2年生対象のこのような科目の1つを担当しています。その授業時間では、時にはきびしいことがあります。それは、何よりみなさんの安全のためです。安全に関する注意は常に行われてはいますが、うっかり、安全メガネをしない、廃液を水道に流しそうになったり、床に荷物を置いている、といった安全に関わる場面では、きびしいかもしれませんが注意をします。


化学実験は本来楽しいものですが、それは安全があってはじめて成り立っています。人間誰でもそうですが、慣れとちょっとした気の緩みが生じてしまいます。一般的に、化学実験に限らず、1つの残念な事故の水面下には、小さなミスやヒヤリ・ハッとするような事象がたくさんあると言われています。そのため、可能な限りそのようなヒヤリ・ハッとの可能性の芽を摘み取っておく必要があります。それには、ちょっときびしく注意しなければいけない場面もあります。

みなさんも、化学実験のとき、教員やアシスタントの大学院生がきびしいと感じる場面もたまにあるかもしれません。それは、とにかく安全に楽しんでほしいという願いから来るものに他なりません。

何といっても、化学実験は楽しいと思います。正しい取り組みと器具や薬品の使い方をしていれば、まず問題ありません。みなさんも安全第一で化学実験を楽しんでください!そして、将来は、新しい日本の化学を発展させ、日本の科学技術をリードしてくれることを大いに期待しています!


最後に、楽しい化学実験の結果を示す今月の1枚:
炭酸カルシウムでできているウニのトゲの構造をまるごと導電性高分子であるポリピロールに写しとってみました。生き物の持つ複雑で精密な構造を、合成した材料に持たせようというねらいの実験(趣味?)です。












梅雨ですね、ジメジメしますが、その先には夏休みが待っていますので、
定期試験がんばってのりきってください!

2011年3月5日土曜日

化学好きなら持っていたいこの一冊

みなさんこんにちは、みゃはらです。
東京はだいぶ暖かくなってきました。ついこの前は小雪がちらついていたというのに……。





そうそう、先日の2/14(バレンタインデーでしたね)は、このあたりはかなり雪が積もりました。温度の下がった夕方から、短時間に15cmぐらい降ったので、交通は大混乱。運悪く自動車を運転していたのですが、雪にタイヤを取られて動けなくなってしまいました。車から降りて、押して脱出しようとしたら、自分めがけて車がずり落ちてきて!



……轢かれるかと思いました。

渾身の力で押し返したら、何とか止まってくれたのですが、一歩間違えば、大惨事です。おかげで翌日、翌々日と重症の筋肉痛に。筋肉痛で寝込んだのは、生まれて初めてです。



さて、タイトルとはまったく関係ない話でしたね(^_^)。

とてもステキな本に出合えたので、ご紹介です。


※画像はamazonのウェブサイトを直接ハイパーリンク参照しています。


『世界で一番美しい元素図鑑』

http://www.sogensha.co.jp/special/TheElements/
セオドア・グレイ (著)、若林文高 (監修)、ニック・マン (写真)、武井摩利 (翻訳)
出版社: 創元社
ISBN: 4422420046
定価: 3,990円


正直、お財布の中をのぞいて、深呼吸をして、レジにもって行きたくなるお値段です。

でも、絶対損はしません!あらゆる元素が大きなカラー写真で紹介されており、ペラペラと写真だけをめくっていくだけでも、もううっとりしてしまいます。通信販売のカタログを眺めたり、美術品の目録を観たりするのがお好きな方は、絶対ハマること間違いなし。


写真だけではなくて、元素の性質や歴史、日常生活でどのように使われているか、などが紹介されており、教科書の副読本として使ってもよいのではないでしょうか。まさに、化学の地図、といっても過言ではないと思います。



化学が大好きなみなさん、いかがですか?

昨年日本語版が発刊されたばかりですが、USでは20万部を超えるベストセラーだそうです。じき、ご近所の図書館にも蔵書されるでしょうから、まずはご覧になってください。

2011年3月3日木曜日

化学を見るには?

こんにちは、私は大学で材料をつくる化学の研究・教育をしているnanoです。
大げさなタイトルですみません。

みなさんは、学校の授業や試験で何気なく化学式や構造式を書いているかと思います。
たくさんの原子や分子、それらの反応式が書けるのではないかと思います。
ところで、原子や分子、それらが並んでいる結晶を見たことありますか?





この写真は結晶内で分子が整列している様子です。黒い部分は原子・分子に相当します。
具体的には、ある種の酸化マンガン結晶の透過型電子顕微鏡写真です。黒く三角形のように見えるのは、その横の絵で示すように、中心をマンガン・頂点を酸素とした正八面体構造の1つの面になります(酸素は隣のマンガンとも共有されています)。この正八面体が連なって酸化マンガンという物質をつくっています。

大きさを見て下さい、1ナノメートルは10のマイナス9乗メートル=10のマイナス6乗ミリメートルです。皆さんが何気なく文字で書いている原子分子はとても小さいですね。この顕微鏡の写真でも、厳密に1個のマンガンと1個の酸素は見えていません、マンガンと酸素がくっついたものがかろうじて見えています。

普段、私たちは光(可視光:およそ400-700ナノメートル)を利用して色々な物を見ています。肉眼ではだいたい1ミリ弱のものを見るのが精一杯でしょうか。また、ガラスなどでできたレンズを使っている虫眼鏡や顕微鏡で、さらに小さなものを見ることができるかと思います。しかし、可視光の波長より短いものを見ることは困難です。

そこで、より小さな物を見るために、電子を利用します。電子を、およそ200キロボルトの電圧をかけて加速させるので、波長はおよそ0.00251ナノメートルです。電磁レンズを使った顕微鏡でとても小さなものを見ることができます。その結果、原子や分子ほどの小さなものを見ることができます。
写真の左端にある背の高い装置です。

ややこしい説明はこのあたりにとどめておきたいと思います。と言いますのは、この先を理解してゆくためには物理の知識も必要なのです。具体的には、光の性質、レンズの性質、電子の性質等などです。そこで、タイトルに戻りますと、化学を見るためには物理の知識も必要なんだなと思っています(ということは、私自身もよくわかっていない・・・)。

もちろん、化合物や原子・分子を調べる(分析する)手段は他にもたくさんあります。例えば、目的の化合物になっているかを調べる際に、はじめはAとBの結合であったものがAとCの結合に変わっているかを調べる場合もあります。A,B,Cを違う重さのおもりと考え、その間の結合をバネと考え、振動させるのに必要な力がA–BとA–Cで違うのを検出するような分析もあります。これも高校の物理で習う力学の知識が必要そうですよね。

他にも、化学を見る・知るためには実にたくさんの分析手段がありますが、よくその原理を見てみると、物理や生物の知識、時には数学の知識が必要であったりします。しかし、そこまで難しい知識は必要ないとも思います。未来の化学者であるみなさんも、化学を見えるようにするために、好き嫌いなくまんべんなく勉強して下さいね。

受験生の方は、大学入試も終盤に差し掛かかってきました。
受験勉強は大変だと思いますが、せっかく勉強するならば、将来に役立つように、できることなら楽しみながらがんばって取り組んでください!

2011年2月4日金曜日

国際化学オリンピックを知っていますか?

みなさんこんにちは。副委員長の菅原です。
今日は国際化学オリンピック((International Chemistry Olympiad, 通称IChO)についてご紹介したいと思います。国際化学オリンピックは世界中の高校生が集まり、化学の実力を競い合うイベントです。4年に一度のスポーツのオリンピックとは違い、国際化学オリンピックは毎年夏に開催されています。2010年第42回国際化学オリンピックが日本で開催されたので(719日から28日まで)覚えている方も多いと思います。この大会では、68カ国から267人の生徒が参加しました。日本の代表4名は大健闘し、史上最高の成績(金メダル2、銀メダル2)を収めました。
化学だいすきクラブの委員は、私を含め10名近いメンバーが関わっていました。日本で開催するのは初めてだったため、手探りで進めることになりましたが、大きなトラブルなく実施でき、閉会式では参加者の満足そうな顔をみることができました。
会期中、試験は2日(筆記試験と実験試験各1日)で行われます。残りの日には様々なイベントが企画されているので、世界中の高校生と国際交流をしていくことになります。日本大会では、浅草や鎌倉に行ったり、日本の伝統的な文化(習字など)を体験したりしました。
ところで日本の代表はどうやって選ばれているのでしょうか。 実は前の年に行われる全国高校化学グランプリの結果をもとに代表候補者が選ばれ、その後さらなる選考を経て代表が決定されます。つまり、全国高校化学グランプリに参加した高校2年生以下の生徒の中から、翌年のオリンピックの代表が選ばれているのです。
2011年はトルコで開催される予定で、2012年はアメリカ開催の予定です。2012年の国際化学オリンピック代表を目指し、ぜひこの夏、全国高校化学グランプリにチャレンジしてみましょう!

42回国際化学オリンピック
http://www.icho2010.org/ja/home.html
全国高校化学グランプリ
http://gp.csj.jp/
(GIMU代理投稿)