2011年3月5日土曜日

化学好きなら持っていたいこの一冊

みなさんこんにちは、みゃはらです。
東京はだいぶ暖かくなってきました。ついこの前は小雪がちらついていたというのに……。





そうそう、先日の2/14(バレンタインデーでしたね)は、このあたりはかなり雪が積もりました。温度の下がった夕方から、短時間に15cmぐらい降ったので、交通は大混乱。運悪く自動車を運転していたのですが、雪にタイヤを取られて動けなくなってしまいました。車から降りて、押して脱出しようとしたら、自分めがけて車がずり落ちてきて!



……轢かれるかと思いました。

渾身の力で押し返したら、何とか止まってくれたのですが、一歩間違えば、大惨事です。おかげで翌日、翌々日と重症の筋肉痛に。筋肉痛で寝込んだのは、生まれて初めてです。



さて、タイトルとはまったく関係ない話でしたね(^_^)。

とてもステキな本に出合えたので、ご紹介です。


※画像はamazonのウェブサイトを直接ハイパーリンク参照しています。


『世界で一番美しい元素図鑑』

http://www.sogensha.co.jp/special/TheElements/
セオドア・グレイ (著)、若林文高 (監修)、ニック・マン (写真)、武井摩利 (翻訳)
出版社: 創元社
ISBN: 4422420046
定価: 3,990円


正直、お財布の中をのぞいて、深呼吸をして、レジにもって行きたくなるお値段です。

でも、絶対損はしません!あらゆる元素が大きなカラー写真で紹介されており、ペラペラと写真だけをめくっていくだけでも、もううっとりしてしまいます。通信販売のカタログを眺めたり、美術品の目録を観たりするのがお好きな方は、絶対ハマること間違いなし。


写真だけではなくて、元素の性質や歴史、日常生活でどのように使われているか、などが紹介されており、教科書の副読本として使ってもよいのではないでしょうか。まさに、化学の地図、といっても過言ではないと思います。



化学が大好きなみなさん、いかがですか?

昨年日本語版が発刊されたばかりですが、USでは20万部を超えるベストセラーだそうです。じき、ご近所の図書館にも蔵書されるでしょうから、まずはご覧になってください。

2011年3月3日木曜日

化学を見るには?

こんにちは、私は大学で材料をつくる化学の研究・教育をしているnanoです。
大げさなタイトルですみません。

みなさんは、学校の授業や試験で何気なく化学式や構造式を書いているかと思います。
たくさんの原子や分子、それらの反応式が書けるのではないかと思います。
ところで、原子や分子、それらが並んでいる結晶を見たことありますか?





この写真は結晶内で分子が整列している様子です。黒い部分は原子・分子に相当します。
具体的には、ある種の酸化マンガン結晶の透過型電子顕微鏡写真です。黒く三角形のように見えるのは、その横の絵で示すように、中心をマンガン・頂点を酸素とした正八面体構造の1つの面になります(酸素は隣のマンガンとも共有されています)。この正八面体が連なって酸化マンガンという物質をつくっています。

大きさを見て下さい、1ナノメートルは10のマイナス9乗メートル=10のマイナス6乗ミリメートルです。皆さんが何気なく文字で書いている原子分子はとても小さいですね。この顕微鏡の写真でも、厳密に1個のマンガンと1個の酸素は見えていません、マンガンと酸素がくっついたものがかろうじて見えています。

普段、私たちは光(可視光:およそ400-700ナノメートル)を利用して色々な物を見ています。肉眼ではだいたい1ミリ弱のものを見るのが精一杯でしょうか。また、ガラスなどでできたレンズを使っている虫眼鏡や顕微鏡で、さらに小さなものを見ることができるかと思います。しかし、可視光の波長より短いものを見ることは困難です。

そこで、より小さな物を見るために、電子を利用します。電子を、およそ200キロボルトの電圧をかけて加速させるので、波長はおよそ0.00251ナノメートルです。電磁レンズを使った顕微鏡でとても小さなものを見ることができます。その結果、原子や分子ほどの小さなものを見ることができます。
写真の左端にある背の高い装置です。

ややこしい説明はこのあたりにとどめておきたいと思います。と言いますのは、この先を理解してゆくためには物理の知識も必要なのです。具体的には、光の性質、レンズの性質、電子の性質等などです。そこで、タイトルに戻りますと、化学を見るためには物理の知識も必要なんだなと思っています(ということは、私自身もよくわかっていない・・・)。

もちろん、化合物や原子・分子を調べる(分析する)手段は他にもたくさんあります。例えば、目的の化合物になっているかを調べる際に、はじめはAとBの結合であったものがAとCの結合に変わっているかを調べる場合もあります。A,B,Cを違う重さのおもりと考え、その間の結合をバネと考え、振動させるのに必要な力がA–BとA–Cで違うのを検出するような分析もあります。これも高校の物理で習う力学の知識が必要そうですよね。

他にも、化学を見る・知るためには実にたくさんの分析手段がありますが、よくその原理を見てみると、物理や生物の知識、時には数学の知識が必要であったりします。しかし、そこまで難しい知識は必要ないとも思います。未来の化学者であるみなさんも、化学を見えるようにするために、好き嫌いなくまんべんなく勉強して下さいね。

受験生の方は、大学入試も終盤に差し掛かかってきました。
受験勉強は大変だと思いますが、せっかく勉強するならば、将来に役立つように、できることなら楽しみながらがんばって取り組んでください!